「もう…大丈夫だな?」



「………うん」




美波は赤くなった顔のまま、コクっと頷いた。



それを確認したところで、俺はベンチから立ち上がる。




「さあて…んじゃ、行ってくるか」



「………?

行くって…どこに?」




俺は美波の頭をポンと叩き、そして笑った。


美波は不思議そうに首を傾げる。




「ありがとな。

お前のおかげで踏ん切りがついたよ。

だから………」



「………だから?」



「………千鶴に会いにいく」




      ◇





美波と公園で別れて数分。


俺は数日前に訪れた千鶴の家の前にいた。


千鶴の家は二階建てで、千鶴の部屋は二階らしい。



だが、そこに明かりはなかった。