言葉に詰まってしまった美波に代わり、俺が口を開いた。




「俺、お前が溺れたときさ、何で美波を一人にしたんだろうって思ったんだよ」



「それは、私が…」



「でも、一人にしたのは俺だ。

美波が泳げないことを知っていたのに一人にしたんだ。

今考えたらとんでもない失敗だよ」




俺は選択を間違った。


だが、それが必ずしも悪いわけじゃない。




「でも、失敗したときってさ、悔やんでばかりいられないんだよな。

できなくて、間違って…

大事なのはその後、なんだよ」



「………その後?」



「俺は、今回のことで美波を一人にしちゃいけないってことを知った。

美波は、一人になっちゃいけないってことを知った。


後は、それを次に活かすだけだ」




過去をやり直すことはできないけど、振り返ることができる。


反省することができる。

次に繋げることができる。



だから、俺は今、この言葉を言える。




「一人にして悪かった。


これからは、俺は、美波を一人にはしない。

これからは、美波は、困ったら俺を頼れ」