できなくてもいい。



雨宮は笑ってそう言った。



はたして、本当にそうなんだろうか？


たしかに、俺にできることなんて些細なことかもしれないし、いつも間違ってばかりだ。



でも、それはできることをできないって決めつけているだけで…




｢それにね、｣



俺の考えを断ち切るかのように、雨宮は口を開いた。



｢助けられた側は、高橋くんに責任なんて感じてほしくないみたい｣



そう言って雨宮が視線を送った。



そこには、さっきまで千鶴たちと遊んでいたはずの美波が立っていた。




｢さて、後は美波に任せるね｣




意味深な笑みを浮かべ、美波の肩をポンと叩いて雨宮は千鶴たちの方へ向かっていった。


雨宮に肩を叩かれた美波は、少しムッとした表情になったが、すぐに元の表情にもどし、ゴホンと咳き込んだ。



そして、恐る恐るといった様子で俺の方へ近づいてくる。