「うわぁ!
先輩、海です!!
どこまでもブルーな海ですよ!!」



「ああ…俺もブルーだ………」




ため息をつきつつ、窓から身を乗り出してはしゃぐ千鶴を見た。



照りつける太陽をものともしないくらい眩しい笑顔。



そして、チラッと横を見ると、やけにムスッとした美波の横顔。



そしてそして、腕を組んで眠る勇人と手鏡を片手にニコニコ笑う雨宮。




「………はぁ」




さて、ここはひとまず説明すべきだろう。



何故、この面子で海、なんとやらに来ているのか。



それは夏休みも二週間が過ぎ、8月に入ってすぐのことだった。



ことの発端は簡単なもんだ。




「みんなで海水浴〜♪」




と、のんきに鼻歌まじりに運転するうちの母だ。