ライブが終わり

後片付けをしていた私は
出口でモメている
カップルの声を聞いた


彼だ



彼は
あの女の腕をつかみ
何か怒鳴っている



気付かないフリで
パイプ椅子を
運びながら


近づく私


「...また同じじゃない!」


突然
あの女が叫びながら
出ていった



グワッシャ〜ン

思わずパイプ椅子を
落としてしまった


振り返った彼は
意外にも
いつもと変わらない
冷めた表情だった。