高校の入学式。春の匂いが私の気分を酔わせる。


桜がヒラヒラ舞い散った、今日この頃。



「ちょっと、波美!準備できたの~?!」


お母さんが、化粧しながら私に問いかける。


「もう、できてるって!うるさいなー。

今日ぐらいちゃんと自分でするし。子離れして」


「あんたねー。今まで誰が育てたと思ってんの?」


「はいはい、わかった。早くいこっ。」



有紀とは、あれからあっていない。

あの日以来、3ヶ月がたった。有紀を

どうしてるんだろ。


「新入生、起立!・・・・礼。」

「新入生代表の言葉、江西波美!」


「はい。」



あたしは今、堂々と全く知らない人たちの前を

歩いている。そう、この一つの空間で。



この高校に受かるなんて夢にも思わなかった。

嬉しいはずなのに、うきうきしているはずの

自分があの日以来からそんな感情がわかない。