それから何時間経ったのだろうか。
もう太陽が沈みかけていた。


「あ‥永原、ごめん。永原の制服‥わたしの涙と鼻水でべちゃべちゃ。ははは。」


「ほんとだ。ま‥いっか。これくらい気にしない。てゆうか、逢坂の顔のほうがひどい。わははは!」


逢坂は我に返り、いつもの笑顔で笑い始める。
顔なんか泣きすぎて、真っ赤だし腫れてるしで大変なことになってる。


「ひどいな〜!永原の馬鹿!!最低!最悪!」


二人ともいつも通りに笑い合った。
さっきまでの出来事が嘘のように思えた。でも‥あれは嘘なんかじゃなくて、真実なんだ。


「ねえ、逢坂。今日‥俺の家に来ればいいよ。あ、変な意味じゃなくて。だから‥その‥」


「‥いいの?」


「もちろん。家‥汚いけど。」


「ありがとう。じゃあ、一日だけよろしく。」


よかった。逢坂が自分の家に帰るって言ったら、僕は何も言えなくなるとこだった。
だって‥まさか、彼女の状況を知ったあとで、「バイバイ、また明日」なんて言えるわけがない。


「じゃあ‥帰ろうか。」