「もうやだよ‥。わたし生きてても意味ないの。お母さんがいらないって。産むんじゃなかったって。」
大量の涙を流し逢坂は言った。
僕は寝転んでいた逢坂を起こし、強く抱きしめた。
ただただ彼女の泣き声が、僕の世界に響き渡る。


「なが‥は‥ら。わたしどうしたらいいのかな。お母さんのこと嫌いじゃないの。‥でも、怖い。」


「逢坂は何もしなくていいんだよ。もう一人で無理しなくてもいいんだ。今まで辛かったろ‥気付いてやれなくてごめん。もう逢坂は一人じゃないから。いつでも俺のところにきなよ。」
この言葉が今の僕には精一杯の言葉だった。
今にもお互いの心臓の音が聞こえそうな距離で‥。


逢坂は震えていた。
彼女の辛さを少しでも和らげる事ができるなら、僕はなんでもする。
こうゆう時だけは神様に頼りたくなるんだ。
‥神様、どうか彼女を苦痛から解放してあげて下さい。


ぐずんぐずんと鼻水をすする音と僕らの心臓の音と逢坂の泣き声。
僕の世界にはそれらの音しか聞こえていない。