「別れた?」
「そ。もちろん愛梨からね」
昼休み。
私は夏生と二人、狭い食堂に席を陣取り、例の一件を話していた。
「でもさぁ、愛梨ちゃんもよく続いたよね」
「うーん。愛梨はああ見えてB専だからね」
そう。
昔から愛梨は、私と真逆の趣味をしていた。
それは男だけでなく、食べ物も、キャラクターも、全てにおいて好みが変わっているのだ。
「じゃあ結局、店に豚野郎が来たことは愛梨ちゃんには言ってないんだ?」
「……うん」
最初は言うつもりだった。
悔しいから。
あんな豚、さっさと別れなさいって。
…けど。
愛梨の顔見たら言えなくなっちゃったんだよ。
まだ心の何処かでアイツを信じてるのかなって思ったら…言えなかった。