──そして。
放課後、ついに悪夢は訪れた。
「……嘘」
1年の昇降口。
廊下に背中を預けながら、何やら険しい顔で腕を組んでいる男が一名。
「ねぇ、美希、あれって志季先ぱ」
「ごめん夏生!今日は先に帰るね!」
「は?ちょ、美希?」
唖然とする夏生を残し、私は鞄片手に猛ダッシュ。
それはもう光の速さで、アイツ──志季の横を通り抜けようとした。
……が。
「おいコラ待てや」
──ガシ、と掴まれた腕。
もちろん私は硬直状態。
カタカタと膝が笑う。
誰か、誰か助けて──。
「何逃げてんだ?あ?」
「ひっ─…」
物凄く黒いオーラが、おまけに大蛇までもが、背後に見えるんですけど。