翌朝。
志季は迎えに来なかった。
その代わりにメールが一通入っていて。
『今朝ぐらい妹と来れば』
──という事らしい。
志季なりに気を遣ってくれたのかもしれないけど…
やっぱりちょっとだけ寂しいよ。
肩を落とし、一人とぼとぼと校門をくぐる。
途中、先輩たちのギラギラした視線を何度か感じたけど、直接何かを言われることは無かった。
「美ー希!」
下駄箱で靴を履き替えていると。
聞き覚えのあるソプラノボイスが私の名前を呼んだ。
「夏生」
「おっはよーさん!」
バシン!と鞄でお尻を叩かれる。
朝からハイテンションだなぁ…
なんて感心しながら、夏生と肩を並べて教室に向かった。