月曜日の朝は、堪らなくだるい。

そんでもって、憂鬱。



「美希」


重い足取りで玄関を出ようとした私を、珍しい人物が呼び止めた。


「…おとーさん」


夜勤のはずじゃなかったのか、と思いつつも、開いたドアを再び閉める。


「美希、今日はバイトか?」


「今日は無いけど、どうして?」


その瞬間、僅かにお父さんの顔つきが神妙になったのが見てとれた。



「…大事な話があるから、寄り道せずに帰ってきなさい」




───大事な、話?


その表情から感じられる、ただならぬ雰囲気。


「…ん、わかったよ」


それでも、いつも通り平然を装って頷く私に、安心したように再び笑顔を見せるお父さん。


「じゃ、行ってらっしゃい」

「うん」


…久々にお父さんに見送られての登校。


嬉しいはずなのに、胸の中に残るモヤモヤ。

大事な話って、一体何───?



だけど、家の門を開けた瞬間、そんな考えはすぐに吹っ飛んでしまった。