「初日に遅刻とは、いい身ご身分だな」
蛇!
やっぱり幻覚なんかじゃなかった。
確かに今、ヤツの後ろに蛇が見えたよお母さん!
「…2分しか遅れてません。それに、更衣室の場所とか知らなかったし…」
──バン!
志季が、手にしていたホウキを思いっきり床に振り落とす。
「…言い訳か?コラ」
「いえ、何でもありません」
…って。
なんでホウキ…?
「いいか新人。仕事の基本はまず掃除だ」
「…はぁ」
「いくら料理が旨くたって、こんな汚い環境で食いたいと思うか?」
いやいや、ここまで汚くしたのはアンタらでしょうが。
明らかにここ1ヶ月掃除してません、って感じなんですけれども。