「…ふごっ!!」



口元を覆う温かい感触。



「まだ…ダメ。」



キスしようとした途端、突然、口元を手のひらで覆われた俺は、少しだけ頬を膨らませる菜々美を見下ろしながら目を見張った。



なに?



この状況で“オアズケ”とか…



マジありえねぇしっ!!



っていうか、



俺は塞がれたままの手のひらをペロッと舐めた。



「ひゃんっ!!もうっ!!」



やっぱカワイィ…



俺は膨れっ面の菜々美を見つめながらフッと笑みを零した。



「ちょっと!ふざけないでっ!!」



「わりぃ、わりぃ。」



「もうっ!!触んないでっ!!お触り禁止っ!!」



「はいはい。」



俺は適当に返事するとギュッと菜々美を抱きしめた。



「もうっ!!だから、」



「菜々美…」



「ダメって…」



「聞いて…。」



「っや…ッ!!」



俺はさらに強く抱きしめると耳元に唇を寄せた。



そして俺の腕ん中でバタバタする菜々美の耳朶を甘噛みすると、



「ッ…ん…」



「聞いて…」



そっと囁いた。