俺の…



バカ…



ただ、チョコ渡したいだけなのに…



ただ、思いを伝えたいだけなのに…



なんでこんな風になっちゃうんだろ…。



菜々美…



もう俺の話聞いてくれないかも…



もう会ってくれないかも…



俺…



もう、ダメかも…



「創…」



全てを諦めかけたその時、突然、口を開いた菜々美。



「えっ?」



俺はクイっと、少しだけネクタイを引っ張る菜々美を見下ろしながら目を見張った。



「菜々…美…?」



「“違う”…って、なにが違うの?」



「えっ…」



「ねぇ…教えて。」



目の前には少しだけ瞳を潤ませながらネクタイを掴む菜々美のドアップ。



キス…



してぇ。



でも…



ダメだっ!ダメだっ!!



我慢だっ!俺っ!!



俺はブンブンと首を振ると、ふぅっとひとつ息を吐いた。



「ねぇ…創…。」



でも…



俺だって男の子。



っていうか、“ガラスの理性”しか持ち合わせていない俺は…



やっぱ、



無理。



「菜々美。」



「ん?」



俺は菜々美の頬にそっと触れるとニコっと笑みを向けた。



「菜々美。」



そしてゆっくりと、顔を近づけた。