-次の日
家を出ると、家の前に魁李が待っていた。

「魁李?」
「おはよ」

魁李が赤くなっている。

「どーした?」
「いやっ‥そのっ‥」

魁李は手で顔を隠して小さく呟いた。

「途中まで‥送る。お前に‥彼氏が出来るまで。」
「どーいう意味?」
「だからっ。お前を守る奴がいないと、俺が心配なんだよ!!」

顔が熱い‥。
魁李ってこんなに男っぽかったっけ?

「ああっ!もうグズグズしてないで行くぞ!!!」

魁李が俺の手を取った。
熱が伝わる二人の手。
悲しい程、魁李がカッコよかった。

「お前‥大町からメール来たんだろ」
「なんで知って‥」
「香月先輩から聞いた。大丈夫か?」

また涙が出そうになる。
目を必死に食いしばってこらえた。

「大丈夫。」
「‥んでたよ」
「え‥」

魁李が俺の手を引いて抱きしめた。
川の音も聞こえない程、心臓の音が大きい。

「もっと俺に頼ってくんねーか?」

チビに言われても、あまり説得力がない。
でもこの時の魁李は大きく感じた。

「俺なら侑月を守れる‥」

魁李は俺の腕を掴んで引き離したかと思ったら、一瞬の内に唇が重なった。
自分と魁李の鼓動だけ聞こえる。
見えるのは魁李の顔だけ。

「魁李っ離し‥」
「離さない。」

魁李が強く俺を抱きしめる。
嬉しかった。
でも俺はまだあの恐怖感から逃げる事は出来ないんだ。