「侑月もさ??アタシみたいに心に決めた人とか作れば?そしたら周りの奴もきっと
諦めて告白してこないよ」

睦月は1年生の時から付き合ってる人がいる。
彼女も1年生の時は今の俺のように、よく告られていた。
けど、彼氏が出来てから皆諦めて、告られなくなったのだ。

「あっ!!大翔~!」

秋の夕日に背を向けて、こっちに走って来たのは中川 大翔(なかがわ ひろと)。
同じ学年で睦月の彼氏だ。

「睦月、おせぇぞ!!」
「ごめんごめん。侑月と話しててさ」
「どーせお前が付き合わせたんだろ??」

睦月と中川の会話はいつも喧嘩じみて楽しそう。
睦月は元々女っぽいのに更に女らしい笑顔で中川に接する。

「じゃ、俺帰るね。」

俺がそう言い切ると睦月が悲しい顔をした。

「侑月。毎回言ってるけど別に居てもいいんだよ??」
「いいよ。俺今日ダンスだし。」
「アタシもあんたと同じなんだけど?」
「‥兎に角、いいよ。じゃね」