「ミキ…」

「はい?」

「前に進みたいのは、俺も同じだよ…」

この広い部屋には私とあなただけ……

健吾は持っていたカメラで私を写した。

「ミキ…、無理するな…。泣きたい時は泣いた方が良い。あの日も無理してたろ?じゃないとミキ、笑えなくなるぞ。」


ふと口元を緩め優しく微笑んでた。

私と貴方は似たような気持ちを抱えてたのかな…

あの言葉が、心の張り詰めていた糸が切れていく。
胸の奥が苦しい。

目が熱い。

彼を見る。

健吾はとても優しく私を見てくれて…

そんな彼を見て安心した。

止まることのない涙を一生懸命拭う私を見て、

彼が隣に座ってきた。

そして……、

優しく……、

優しく……、

私を抱きしめてきた。


「やっと本当のミキが見えてきた気がするよ…」


静かに健吾が囁く。