冷静に話せたけど、胸が熱い…。今はまだ泣きたくないよ……。


「俺……」

「えっ?」

沈黙の中、健吾の声が良く聞こえた。


「俺…、カメラと同時に恋人も捨てたんだ……。いや、捨てたじゃなく捨てられただな。」

「少し聞きました…平井さんから…」

「そっか…」

「俺も片思いでさ、やっと彼女が振り向いてくれて付き合った。でもすれ違いばかりだったから、彼女にフラれたよ。」

無理に見えた彼の笑顔…。なぜか私も無理に笑顔を作ってた。


「今、新しい彼がいるみたいだって。俺もそれで良いと思ってるよ。」

「どうして私に話したんですか…?」

私は真っ直ぐ健吾を見つめる。

「ミキが気になるのかな…」

お互いを見つめ合う。

健吾の顔は冗談を言ってる顔じゃなかった。

私の鼓動は止まることはできなかった。