「よく似合ってますよ。サイズもピッタリですね。」

接客スマイル全開で店員は言ってくる。

他の服を見ていた健吾が近寄って来て、無言で私を見てる。

「…ど、どう…?」

恥ずかしくて、健吾の顔を見れず下を向いていた。
「うん、いい…。ミキ、似合ってるよ…」

健吾の返事の言葉に 思わず鏡を見た。

「これ今着て帰るので、会計お願いします。」

店員にそう言い レジに向かって行ってしまった…

「良かったですね。恋人に喜んでもらえて。」

値札を取りながら別の店員さんに小声で言われた。

「恋人じゃありません!」

顔を赤くして 思い切り否定した。


いいのかな…

プレゼントされる理由がないのに…

高校生の私には高すぎる金額だった。


会計を済ませ、店を出ようとした時―――

「あの…、お客様、失礼ですが、カメラマンの山川さんですよね?」

「………」

女性店員が健吾を引き止めた。

「以前、私が雑誌のモデルしていた時、山川さんに撮ってもらったんですけど…、覚えてますか?」