「走ってる間、風が冷たいから。着てろ。」

「でも、そしたら山川さんが…」

「俺は慣れてるから大丈夫!」

って、私にウインクしてきた。

“しっかり捕まってて!”
と、私の腕を健吾の腰に回された。

“………。”

今私の顔は、サルみたいに真っ赤になってる。

体中が熱くて、ドキドキが止まらない。

どうしよう。健吾に気づかれてしまったら…。

まだこの時の私は 自分の気持ちに向き合っていなかった。



“言った通りに着いちゃった…”

迷う事なく、私の家に着いちゃった。

一度 聞いただけですぐ頭に入ったらしい。


「はぁーーーっ!」と ヘルメットを外し、外の空気を思い切り吸い込んだ。

「どうだった?気持ち良かっただろ?」

バイクのエンジンを切り健吾もヘルメットを外した。

「もうサイコーでした!スッキリな気分です!」

ついさっきまでは気乗りしてなかったのに、今はとても気持ち良い。

“ありがとう”と ヘルメットを健吾へ戻す。