夏の間、健吾はバイクに乗るらしい。

走ってる間の風が爽快でたまらないって 少し興奮しながら語ってた。

そのお気に入りのバイクで私を送ると言ったけど…

「あ、あのぅ…」

先にバイクに乗った健吾に声をかけた。

「あの…、私スカートなんですけど…」

“そうか〜”なんてトボケた言い方して…

普通は気付くはずでしょ〜?

「良いんじゃない?」

「はい…?」

この人、何言ってるの?!

「これも良い経験だと思ってさ。ほらっ」

そう言って強引にヘルメットを被せてきた。

「ちょッ…、ちょっとー!!」

ヘルメットを被ってるせいで、声がこもってしまう。

ほれ、ほれと私の腕を掴み、強引にバイクに乗せられてしまった。

「以外とスカートはめくれないよ。余計なこと考えてる方が可笑しい」

そう言われると乗らないわけにはいかなくなる。

“これ着て。”と健吾が着ていた黒のワイシャツを渡された。私は目で「?」と少し首を傾げた。