「ここにある写真全部、昔健吾がこの街にいた時に撮ったんだ。いちをアイツもプロカメラマンだからね。」

へぇ……

椅子から立ち上がり、ぐるっと店内に飾られてる写真を見る。

「…良い写真ばかりだろ…」

私の横でそっと平井さんは話しかけてきた。

「はい…」

私も静かに返事をする。

認めたくないけど、どれもストレートに心に響いてくる熱いものを感じる。

何もわからない私にも、写真の魅力に吸い込まれそうだった。

「健吾の経験はまだ浅いけど、写真家達から良い評価をもらってるんだ。私もこれからの健吾が楽しみなんだけれど…」

そこで平井さんは言葉を止めた。

ふと平井さんの顔を見た。

今までの穏やかな表情から どこか陰のあるそんな顔をしている。

「写真を辞めるって言ってるんだ、アイツ……」

「えっ?…」

なぜ、平井さんは私にこんな話しをしたのだろう?

どんどん平井さんの表情は曇っていく。