「ははは…。もう昔の話しだよ。今はカメラが大好きな中年のおじさんだよ。」

口元の力が緩み、フッと笑っていた。

「まぁ、今はおっさんでも カメラの腕は確かに保証するよ。俺の師匠でもあるんだからさ!」

自慢気に平井さんの話しをする健吾。

ふーんと私は彼の話しに耳を傾ける。

「冷蔵庫の中が空だったから、ちょっとコンビニに行くけど、ミキ、帰るなよ〜。」

「はい、はい。平井さんと待ってます。」

健吾は急いで写真館を出て行った。

その姿が子供っぽくも思えた。

私達はカウンターに座って話しをした。

「で、ミキちゃん、アイツの話しに協力してくれるの?」

「自信はないけれど、引き受けました。」

「そっか、ありがとう。健吾、喜んでただろ?」

「はい。ちょっと大袈裟の様にも思いますけど…」

私は、平井さんの後ろの 壁に視線が行った。

平井さんも壁に目を向けた。