ザワ ザワ…
ザワ ザワ…
突然の突風に、肩より伸びた私の髪が激しくなびく。
桜の花びらが風に舞い、 私を包み込む。

先生と過ごした今までの事が忘れられない。
二人で話すときは『ミキ』って呼んでくれて…

でも、私と先生は『生徒』と『教師』。
この恋が報われることはないんだと思わされた。

突然吹き付けた風は、また強さを増して私に吹き付けてきた。
なびく髪を抑え、見上げたら 桜の花びらは私を切なさのブレーキをかけられないほど優しく舞っていて…
泣きそうだった…
想いを告げる勇気もなく中途半端な恋と自分自身に、涙が溢れてきた。


「先生…、三上先生…」

私が桜の木を見上げながら呟いた時だった。