海からの湿った風が私の髪をなびかせた。

波の音は とても静かに感じて―――、

健吾の真っ直ぐな目に気持ちが大きく揺れていた。

この人は、あの時の私を見透かしていた……。

あの時、健吾に呼びかけられなければ、

私は泣いていたと思うから……。


「ミキの魅力を引き出す自信はあるよ。必ず綺麗に撮るし、良い写真にしてみせる。だから…考えて欲しい…。」


…コクン…

なんでだろう。

躊躇いもなく 頷く私がそこにいた――――。