「あっ、でも今カメラ持ってないや…、どうしようかなぁ…。」

健吾は困った様子で、頭の後ろに手をまわしてる。

私も 無視をして帰ればいいんだけど、出来なかった。自分でも不思議に思う。

「なぁ、もう一度 携帯貸して?」

「えっ?」

「早く、早く!」

また彼は私の携帯を奪った。

「ちょっと、やめてよ!」

私の携帯をいじりながら、

「ここに立ってて!」

強引に私を波打際に立たせた。

「ほら、笑って!」

彼は携帯を構えて笑顔を見せた。

「笑えません!」

即答で答えてやった。

「うーん…」

私の様子を見て苦笑いする彼。

「前にも言いましたが、写真は嫌いです!」

「どうして?」

「どうしてって…どうしてもです!」

「理由になってない。」

「それに、あなたは私のことを何も知らない!そんな事じゃ良い写真なんて無理じゃないですか?」

「ミキも、俺のこと何も知らないだろ?あいこだよ。」