私達は誰もいない校舎を探検した。

「あの、どうしてあの窓は簡単に開いちゃったんですか?」


「ん?だって鍵のネジを緩めたのは俺だもん。」


「えぇっ?!どうしてそんなことを?」


「誰もいない学校ってワクワクしない?秘密っぽくてさ…。だから俺と親友の春美でやったんだ。まさか、まだあの当時のままだとは思わなかったけどね。」

昔を懐かしむように廊下を歩く。
歩く度、木の廊下が音をたてて、そのたび健吾の顔も微笑んでる。


「うわーっ、机ってこんなに小さかったっけ?」


教室に入る時には健吾よりも一番私がはしゃいでいた。
やっぱり私は子供だなぁ…


「あの当時は大きな机でも、今こんなに小さく感じるのは 俺達が大人になった証拠だもんな…なんか悲しくなるよ…」


「そんなに大人になることが悲しいですか?」


「…あの頃は早く大人になりたいって思ってたのに、今はまたこの頃に戻りたいって思ってる…、矛盾してるよな…」


一つ一つ机や椅子を触りながら健吾はあの頃を思い出している。
私にもちゃんと伝わってきた。