「ミキちゃんの事はね、何度も健吾から話で聞いてたの。だから、一目見てこの娘がミキちゃんだなってすぐ分かったわ。」


「えっ…山川さんが?」


意外な事を聞かされビックリしてしまう。
健吾、何話してたんだろ…。


「あの子、写真家になってからあまり笑うことがなくなったの…」


ティーカップに手を添え静かに語り出した。


「でもね、ミキちゃんの話しをするようになってから健吾は生き生きとしてきて、よく笑うようにもなった…。私達はとても嬉しいの。」


「一度写真を諦めたあの子にもう一度カメラを持たせてくれてありがとう。あの子からカメラを取ったら何も無いから…」


「そんな、私は何も…」


「健吾から話しは聞いたわ。ミキちゃんには大変な夏休みになってしまったけど、少しでもあの子を支えて下さい。」


と、お母さんは私に頭を下げてきた。