私の断りの言葉も虚しく、助手席に座らされてしまい出発した。


「平井さんは一足先に行ってて、俺達と宿泊先で合流することになってるから。」


「あのぅ、山川さん」


「ん？ミキ、どした？」


「私まだ行き先聞いてないですよ？」


「あれ？言ってなかったっけ？」


渋滞もなく車は順調に走り続け、運転しながら健吾はとぼけた返事をした。
後ろに座ってる若菜達も前に身を乗り出してきた。

「俺の実家。」


『えっ？』


みんないっせいに健吾を見た。


「俺の実家、軽井沢でペンション経営してるんだ。だから、そこ行こう？って言うか、もう予約したから決定なんだけど。」


後ろの若菜と俊君は行き先を聞いてとてもはしゃいでいた。

私は…


「…？ミキどうした？具合悪いのか？」


「えっ？そうじゃないけど…」