先生と別れ、健吾のバイクに乗ってる私…。


バイクに乗る時も無言で、いつもは信号待ちしてる時後ろに乗ってる私の方を見てくれるのに、話しかけられることも 後ろを向いてくれることもなくバイクは走り続けた。


さっきの先生と健吾の事を思い出すと胸の奥が締め付けられる。


あんな健吾も先生も見るのは初めてだから…。


そう思ったら自然と 健吾の体に回していた腕に力が入った。


いつの間にかバイクは海岸沿いを走っていて、潮の香を微かに感じた。


このまま家に帰るのは嫌だった、もう少し一緒にいたと思ったから……。海に何かを決意したかのように止まり、私達はバイクから降りた。


無言で歩く健吾の後をただついていく。健吾が何を思っているのかわからないから不安だった。


ちょうど夕陽が出てくる時間になってる。
この風景、前にもあったな…
あれは健吾に取られた携帯電話を取り返しに行った日。


波の音を聞きながら、あの日のことを思い返していた。