「ミキ、俺と帰ろう。」


「上田、先生の車で帰ろう?」


二人同時に私を見る。
私は迷うことなく健吾の元へ行った。


「上田…?」


「先生…、私山川さんと帰ります。」


「モデルの事は、私が自分で決めたことです。先生が心配することは何もありません。」


先生に背を向けたまま言ってそのまま健吾と帰ろうとした。


「上田!」


歩き出した私の腕を掴み引き止められた。とても強く捕まれ離すことも出来ないくらいだった。


「せ…先生、こんな所で生徒と一緒にいると誤解されますよ。先生は結婚するんだから…こんな所にいたらダメです…。」


捕まれた手がゆっくりと離れてくのを感じ、私はそのまま健吾と歩き出した。

「先生、さようなら」


でも先生からは一言も言葉がなかった。