「どうした?乗らないのか?」


車に乗ってしまったら…


後悔する…


前に進むって決めたんだから…


「ミキ…?」


健吾…、今すぐ貴方に会いたいよ…



…………!


突然響いたエンジン音。この音…、聞いたことがある…。あれは…


私は音がする方へ振り向いた。


目に映ったのは、一台の止まったバイクとそこに寄り掛かっている男性。


響く低音のエンジン、あのバイクと男性は…


「健吾…」


「ミキ…?」


思わず健吾の名前を呼ぶ私に、先生もバイクの方に目を向けた。


バイクから男性は私達の方に近づいてくる。それが健吾だとわかって嬉しくなった。


「…ミキを迎えに来たよ。」


少し乱れた髪をかき上げながら笑顔で健吾は言った。


「ミキ…、この人まさかあの時のか?」


健吾の顔を見て すぐに先生は気付いた。


「もしかして、モデルの話しを引き受けたのか?」

私と健吾を交互に見て、もう一度私の顔を見た。