校門前―――。


先に学校を出た私は、先生が来るのを待っていた。

前はよく先生と遅くまで話して、当たり前のように先生の車で送ってもらっていた。


もうそんなことはないと思ってた。


きっと前の私なら、嬉しい出来事だと思う。
でも、今は先生のことを思ってる私じゃない。


こうしてる間にも私の心の中は健吾のことだけだった。


“今日は何してるのかな、健吾…。”


そう思いながらボーッと していた間に、先生は私の目の前にやって来ていた。

「何ボーッとしてるんだ?ミキはもう暑さでバテたのか?」


車を降りた先生は、優しい笑顔を見せながら私の頭をポンと撫でてきた。


相変わらず先生は私を妹のように接してる…


「ほら、ミキ乗って。クーラーきかせたから涼しいぞ〜。」


助手席のドアを開けて私を呼ぶ。
でも私はそこへ行くことを躊躇っていた。


どうしてか、って…?


それは…


私の中に先生の存在よりも、健吾の方が大きくて…

私…


こんなにも今 健吾のことを考えてる……。