「どうしてこんな村へ?」
「あの。。」俺達は返答に困った。
「あー、私達学生で、小さな村の生活を見に来たんです!私達、東京に住んでいるとどうしても便利な生活をしてしまって、いつも見えてない事が見えてくるかなーって思って。この村は素敵ですよね。」
マキが上手い事を言ってくれた。
「そうでしたか。この村は小さいけど、皆が力を合わせて暮らしているんです。助け合って、気を配って、いい村にしたいって気持ちが、とても強い人の絆を作ってるんですよ。」
「そうですね。ここに来て出会った方達はとてもいい方ばかりでした。どこから来たかも解らない僕達に皆よくしてくれました。」
「そうでしょう。ここの村に来てくれた人は、この村のお客様ですから。」
おばさんは優しい笑みを浮かべた。

「あのお写真の方がミツコさんですか?」
可愛い笑顔の女の子の写真が仏壇の横に飾られていた。
「そうです。一年前頃。。様態が悪化し始めた頃の写真です。辛かったろうに、カメラを向けたら笑顔を見せるんですよね。」
「それで、お兄さんのマコトさんはどちらに?」
「ああ。。マコトはあれからずっと離れの小さな家に閉じこもりきりなんです。。あの子には相当ショックだったんでしょう。。本当に妹思いでしたから。。10年程前に、主人も同じ心臓病で死にました。それから私は二人を食べさせるために働きにでました。ミツコの世話は全部マコトがやってくれました。」
「マコトさんにはお会いしてないんですか?」
「はい。。食事をたまに届ける事はありますが、殆ど顔は合わせていません。。ここから、すぐ裏山の入り口の所の小さな家なんですけどね。。」

「ごちそうさまでした。おじゃましました。ありがとうございます!」
「いえいえ。たいしたおかまいできませんで。また機会があったら寄ってくださいね。」