私がやる、と名乗りをあげたのは日吉(ひよし)ハル。
ハルちゃんは頭がよくて、ちっさくてかわいい女の子。
ハルちゃんに代表委員はぴったりだろうなぁ…と黒板を見つめていると、先生と目が合った。
「斉藤、後悔してからじゃ遅いぞ」
「…えー…でもー…」
「立候補してみりゃいーじゃん、俺だってやるだけやってみるし」
「そーだよ、選挙は勝負だよ、勝負!」
「ひよちゃん、それ変だよ」
何なら俺がお前の名前書いてきてあげようか、と青山。勝負だ、とハルちゃん。
そんなこと言われたら断れない。
「…じゃあ、やります」
奇妙な不安感と、ちょびっとの期待に押しつぶされそうになって選挙に挑んだ。