「お父さんだって……本当はこんな大切な物を置いて……死にたくないよ……。」


顔を上げるとお父さんは涙を流して歯を食いしばっていた。


「お父さーん!!」


大声で泣きながらしがみつく私をお父さんは、ギュッと抱きしめてくれた。お父さんの温もり、お父さんの匂い…これからもう2度と味わえないかもしれないと思うと、力を入れて抱き着いても抱き着いても、足りない気がした。


私のお父さん…大好きだったお父さん…。