「神様はきっと、こんな寿命の短いお父さんには気持ちのしっかりした妻と子供達を…って考えてくれたんだよ。だから神様がお父さんの命を決めたんじゃなくて、お父さんの死に向き合えるお前達を選んでくれたんだと思うよ。」


「私だって、お母さんだって渉だって…おじいちゃんもおばあちゃんも、みんなお父さんが死んでからは抜け殻みたいになって、誰も向かい合ってなんかなかったよ。だから、まだまだ私達にはお父さんが必要なの!」


「加奈子…ワガママを言うんじゃない」

急に子供をあやすようにお父さんは私の顔を覗き込んだ。

「加奈子はそんなみんなを見て、立ち直らせたかったから未来から来てくれたんだろ?その加奈子がこれじゃあ、またみんな抜け殻になっちゃうじゃないか…。でも、お父さん嬉しいな…時々考えたんだ父さんが死んで、みんな泣くのかなって…そうか…みんな父さんを必要としてくれてるんだな…」