「じゃあ30年以上も動き続けたんだね!すごいなぁ〜立派な時計だね」


「学はよう喜んだよ。この時計が音を鳴らす度に”僕の時計がおしゃべりしてる”って騒いだなぁ。」


「えぇ〜お父さん、可愛いし」


「あいつは親不孝だよ。俺らより早く死ぬなんてな…」



父や夫を無くした家族と一緒で息子をなくしたおじいちゃんとおばあちゃんも、悲しみの淵からはい上がれないでいた。

お父さん…やっぱり早過ぎたね…。まだまだ皆、お父さんと居たかったんだよ。


お父さんは死ぬ間際に私に「加奈子…ありがとう」って言ったんだ。今まで何がありがとうかわからなくて、その時は「うんうん」って泣きながら聞くしか出来なかったけど、私はおばあちゃんちに来て、ようやくその意味を知る事になった。