「だって、友達もバイトだし。高校の友達は下宿組多いから、いつ帰ってくるか分からないもん」


言い訳のように私が呟くと、彼はさっきの私のように「彼氏は?」と尋ねてくる


「彼氏がいたら、苦労してませーん!」


イーっと顔をしかめると、彼は私の顔を見て「そっか」と苦笑した

そうやって大学に続く道を歩いていると、いつもなら長く感じる道のりがあっという間に過ぎていく

気がつけばもうすぐお別れだ

ふと自分の持っている紙袋を見下ろして、頭の中である言葉がよみがえる


『渡せば良いじゃん。バレンタインの時はもう大学休みだし、イベント事は遅いより早い方が良いんだから♪』


深い意味はない
だっていっぱい出来ちゃったから


「ね、ねぇ。坂城くん、甘いもの大丈夫な人?」

「甘いもの?うーん、昔はダメだったけど、今は結構大丈夫」


その言葉を聞いて私は紙袋に手を伸ばした