「あら、珍しいのねぇ。」



後から母さんの声を受けつつ、僕は最近新しく買ったばかりのスニーカーの紐を結んでいた。


新品の靴特有のゴムのような匂いを感じながら、余裕の朝に少しばかりの優越感を感じる。


今から行って、学校に着いても、ほとんど誰も居ないんだろうな。そして僕は余裕の笑みを浮かべて教室に居るのだ。



いつも僕と変わらない時間に登校してくる奴らはもちろん、毎朝一番に来ている人だって僕の姿に驚くだろう。




想像しただけでちょっぴり笑いがこみ上げてくる。


さあ、早く行こう。




「いってきます。」



「いってらっしゃい。・・・・・いつもこうだといいんだけどねぇ。」




母さんの小言もうるさく感じないなんて。

早起きもするもんだな。毎日なんてのはたぶん僕には無理だろうけど。





足取りは軽く、だんだん気持ちよくなってさらにスピードが増した。


どうせ早く着くなら、一番になってやろう。



もうこんな日は無いだろうし。