―8月猛暑―
 
アブラゼミが酷く鳴き散らしていた。
 
しかし…
 
それに負けず劣らずの声(奇声?)を張り上げている少女がいた。

少女は身長152〜3㌢と小柄の細身で
 
腰まであるかと思われるエメラルドグリーンに輝く長髪を、ひとつに束ねていた。
 
胴着姿で一心不乱に竹刀を振るってる様子は、男顔負けの勇ましさだ。
 
だが―…

道場主である父親の荒々しい部分の性格を上手く引き継いでしまったようで…
 
そんな性分で、度々門下生達を困らせているようだ。
 
今朝も、朝一番から竹刀を片手に鍛練に勤しんでいるところだ。
 
綺麗に雑巾掛けされた床には
 
既に何人か打ち倒れていた。