「この先、通りぬけ出来ません」
この間夢で見たのと同じ看板が見えて来た。

「今の看板見た?」

真っ直ぐ前を見据えて、アクセルを踏む直也の横顔に訊ねた。

「なに?看板って?」

「今ね、道端に、この先、通りぬけ出来ませんって看板立ってたの。見なかった?」
「そんなはずないんじゃない?、何時もこの道二人で通ってるじゃないか?」

そう云われれば・・・

でも、確かに、さっき夢の中で見たのと同じあの看板を見た!。

何だろう、本当に風邪かも知れない。なんか意識がボーっとして来た。

「この先、通りぬけ出来ません」

まただ!

愛穂はその看板を目に捉えた瞬間、直也の肩へ手をやって促した。

「ほら見てよ!、看板・・・」
「えぇ?看板なんか、何にも見えないよ。愛穂、熱のせいで、幻覚でも見たんじゃないのか?」
「そんな、私には見えたんだけどなぁ~。なんか納得行かないよ」