「そんなに急がないきゃダメなのかしら?」

「一応、うちの親には愛穂にプロポーズした次の日に電話で会わせたい人が居るって話して置いたんだけど・・・」

こんなに直也がイケイケだとは、今まで気づかなかった。

彼のプロポーズの言葉で、私の気持ちが逆に覚めた部分があることを知った。

「こういう話は、決まったら即実行に移して全開で突き進まないとツキが逃げちゃうっていうからね!」
「そうなんだぁ・・・」

軽く微笑んで見せたものの、内心絶句していた。

「私なんかちょっと体調悪い感じ、風邪かなぁ~熱っぽい・・」

「大丈夫?身体大事にしないと、これから子供を産む体なんだし」

「ごめんね、今夜は家へ帰ってゆっくり休むわ・・・」

風邪を引いた、というより。実は、これが風邪の治り始めのような気もした。
恋愛風邪が治る予兆の心の悪寒・・・。

「さっきの話し、そう、実家へ一緒に行くって話ね。あれしっかり予定に入れておいてくれよ!」

送ってもらう車中、直也はしっかりと念を押してきた。

「うん、その話は体調が良くなったら、ちゃんと考えるから」

答えた後、彼の助手席で軽く目を伏せて、二人の家庭を想像してみた。