しかも辺りは闇に包まれ、民家の明かりさえ近くには見当たらない。
こんな不気味な夜の山道を、なぜか愛穂は一人愛車の軽自動車を走らせていた。

「どうしよう・・・」愛穂は、何度も呟きながらアクセルへ載せた右足を軽く踏み続けるしかなかった。

「たぶんこの先の何処かに回れる場所くらいあるわよね。いくらなんでも、このまま、突然行き止まりって事もないでしょ?」

そんな願いにも似た独り言を呟きながら、車を走らせ続けた。

「この先、通りぬけ出来ません!」

ご親切に、また同じ看板が立ててある。

最初の看板があった場所から10分程度走っただろうか・・・
道幅は依然先ほどと変わらないくらいで、この先直ぐに行き止まりになる気配はない。

結構急な左右のカーブ、そしてアップダウンを繰り返しながら山道は続いている。
二度目の看板を過ぎてから、さらに10分程度走った。

「この先、通り抜け出来ません!」

また同じ看板が、同じように立っている。