そして今夜は、そのコンビニの駐車場で車を降りる間際、直也は愛穂にプロポーズの打診をしたのだった。

もう少し違うタイミングで、例えばベッドで抱きあった後とか、それらしい映画を観て気持ちがアットホームな気分になっている時とかにプロポーズされたら、愛穂は素直に肯いていたかもしれない。

それも、違うような気もする。結婚というやつには、目に見えない流れに押し流されて行くようなパワーが働いているのじゃないか。自分の意思なんて、介入する余地もなく気づいたら「結婚」しちゃってた。おそらく、そんなもんじゃないのかな?

普段は寝床に入れば直ぐに眠りに落ちる愛穂も、流石にその夜だけは結婚について多少あれやこれやとしばし思いを巡らせていた。


「この先、通りぬけ出来ません!」
乗用車が二台すれ違うには、かなり厳しいほどの道幅の山道、両側には木々がひしめき合い車を転回させる余地など無さそうだ。