数学の時間。

わからない問題を質問し合う声、ペンとノートが擦れる音。


……気分悪い。


「おーい。外ばっか眺めて青春するのもいいけど、問題は解けたのか?」


大きなお腹が視界の隅に映ると共に、そんな声が落ちてきて。
私は顔を上げざるをえなくなった。


「ん? どした、元気ねぇなぁ?」

「……そうですか?」

「わかった。また夜更かししてたんだろ」


最近ずっとだよな、と笑うタケティーに、軽く笑い返しておいた。

ちゃんと笑顔になってるかは、わからない。


「佐久間、解けたか?」


──……気分悪い。


「お!この公式使ったのか。なかなか賢いじゃ……」

「佐久間くん」


タケティーが言葉を止め、悪魔から視線を移す。

背もたれにうっかかって座ってた悪魔も、視線を向ける。


2人の視線の先にいるのは──

……私。