……え?


ポカン、とする私を置いて、悪魔は再びノートを写し出す。

横顔からは表情が読めない。


ってか自分が質問したくせになんだ、その態度は。

興味あんのか、ねぇのか、どっちだよ。


このまま返答しなかったらどうなんのかな、なんて危険大な考えは頭の隅に追いやった。


「……好きだけど……?」


悪魔はチラッとこっちを見て、けどまたすぐにペンを走らせながら「へぇ」とだけ言った。


だから、興味ねぇんなら聞くなよ!!

なんて言えないチキンハートな私は、誤解を招かぬよう補足を付け足した。


「人として、ね」

「……は?」


ここで食い付くか、貴様。

やっぱ気になんのか?


「その、異性としてじゃなくて……お兄ちゃんみたいな存在だから。私の中で」


なんか自分が語ってる事と、悪魔とこんな話してる事が、だんだん恥ずかしくなってきた。

女友達とだってこんな話すんの恥ずかしいのに。


ってか、もしやこれって恋バナ!?
悪魔と恋バナしてんの私!?

うぇ!! なんか違和感!!
超違和感!!


そんな私の思いが通じたか、悪魔はそれ以上何か言ってくる事はなかった。

もしかしたら『つまんねぇ』とか思われたのかもしれない……。