「……お前さ」


ザワザワと身体中の血が騒ぎだす。

心臓がけたたましく運動して、血管の働きを促進してるみたいだ。


目を、逸らせない。


「……何?」


お願いだから。
お願いだから、何も感づかないで……。

そう思ってんのに。

気づいてほしい。
心のどこかでそう願ってる自分もいる。


悪魔は私を見つめたまま、薄い唇を僅かに開いた。


何を言われるのかと身構えると、急に胸が苦しくなる。

無意識に息を止めてたらしい。


そして、悪魔は声を発した。








「タツキの事が好きなのか?」