思いっきし鬱陶しそうな顔をした後、再びノートを写し出す。


悪い奴じゃない。


口は悪いけど、最近それにもちょっとだけ慣れてきた。

たまに傷つく時もあるけど、悪魔といる空間が居心地悪いわけじゃない。

少しだけ、自分から話しかけたりも出来るようになった。

会話も前より増えた。


変わったのは私? 悪魔?

わからないけど、何かが確実に変化していってる。

そんな気がする。


悪い奴じゃない。


だからこそ。

……辛い。


「日直が黒板消せないから、私の写していいよ」


暫く無言の後、素直にノートを受け取る。


……辛い。


「字、汚いけどね」

「冗談抜きで汚ねぇ字だな」

「悪かったね……」

「読めねぇ」

「そこまで汚くねぇし!」


笑いながら否定すると、悪魔がジィッとこっちを見た。

睨んでるとかじゃなくて、ただ見てる。


あの何もかも見透かしそうな、茶色い瞳で。